山はどこもヒグマ出没で閉鎖中。いつの間にか紅葉が始まり、下界からも黄色い色がよく見えます。これから赤やオレンジも出現してくると思いますが、紅葉満開になっても今年の藻岩は登山客も来ずひっそりすることになるのではないでしょうか。
基本、山にヒグマがいるのは普通です。
が、普段はあんまり出てこない藻岩山や市街地にまで腹ペコ熊が降りてきたことは危険な事態なため、藻岩山も旭山公園も円山も、立ち入り禁止のテープが張られています。
山って人が来なくなるとあっという間に道が荒れて元の自然に戻るんですよね。私以外の登山客も立ち入り禁止に従っているとすれば(間違いなく何人かこっそり行ってる)、今頃は登山道もシカやキツネが人間の気配が無いことに首をかしげながら出てきているのではないでしょうか。
山どころか、都心に近い普通の市街地の、私がよく徘徊するあたりを腹ペコ熊たちが徘徊している状態……なんか開拓時代みたいですね。
なので山方面には行かないでおいて、札幌市東区にある美香保公園へ行ってみました。
なんでも、戦時の
砲台の跡が遺されているらしい。今まで見た砲台跡といえば藻岩山登山道にある台座くらいなのでwktk
札幌駅から地下鉄で三つ目くらいの駅を降りて歩いたのですが、駅を出てすぐに方角を見失いました。市街地なのに、遠くの山と太陽の位置と手元の地図と住所を見て居場所を確認しながら歩きました。
で、どうにか辿り着いた美香保公園。都心に近い住宅街にあります。
美香保公園。
名前の由来は、土地を寄贈した三人の市民の頭文字から。
戦時中は、空爆のときの避難場所として使おうと考えられていたそうですが、完成する前に終戦したと聞いています。
現在は、雨が降ると雨水を一時的に公園の広場に貯めて配水することで地域を洪水から守るという機能があります。と看板に書いてありました。
林には遊具が点在し、テニスコートもあります。春から夏の間は、ペットコーナーでウサギやモルモット、ヤギなど動物と触れ合えるらしい。
そして公園の隣には野球場が3面と札幌オリンピックで使われた体育館も。
そんなことより、砲台跡を探して公園内を一人探索。
平日のお昼頃なので人は少なく、幼児を遊ばせる母親やベンチで休憩する会社員らしき人、愛犬家や散歩中の年寄、カラスの大群。白髪混じりの男性が林のベンチでギターを弾いていました。しんみりした曲調……。
私は砲台跡を探して公園内を探索。
でも見つからない。こんなに広い公園だとは思ってなかったので、「行けば見つかるだろ」くらいにしか考えてなかった。
ボール飛んできたら嫌だな。
ご注意くださいと言われても反射神経を期待されているようで困る。
広~い野球場外周と体育館周辺を歩いて、公園外周も一週して元の場所へ。
今日は天候もすぐれず、寒いです。
砲台跡よ……本当にまだのこっているのか……
林にはもう雪虫が舞っています。雪虫はアブラムシの一種だけど白いというだけで風流がられていると見せかけて、鬱陶しがられています。
もう諦めて帰ろうか……と思って歩いてたらあった。
最初に通ったところのすぐ近くにあった。
公園と野球場の境界フェンス横。
高射砲台跡。
比較するのに私の携帯電話を置いてみましたがよく解らないですね。
思っていたよりずっと小さい。ただの剥げた地面に見えますが、横に小さな看板があったのでこれで間違いない。
撤去に費用がかかるので、こうして微妙に残ったらしい。
これだけでは分かりにくいですが多分、MGS3で山岳でヘリを攻撃するのに使える、座って撃つでかい機関銃(砲)と似たような形ものがここに乗っていたのだろうと思います。
空爆とかで飛んでくる敵の飛行機からこっちを防衛するためのもので、「砲」だから弾は口径20㎜以上? そこは時代とかでも違うようですが……とにかく、自分の親指よりでかい弾を空に向けてばんばん連射するばかでかい機関銃、みたいなイメージで良いでしょう。
高射砲で画像検索。
そして、傍らにも何かの跡が。
なんなんでしょうねこれ。パーなので解らないけど、多分これも何かこの戦跡に関係するものなのでしょう。古さも同じくらいのように見えるし。
さらに少し離れた所にも、もう一つ砲台跡が。
こちらは両サイドに、ボルトか何かはめ込まれていた跡があるのも分かります。縁の部分的に草が生えてるところです。
そして、この近くにもやっぱりこれが。
あれ、こちらはさっきのより状態が良い……。やっぱ砲台跡とは関係なし?
でも関係あるような気がする。
そしてどこかで見たことがあるような気がする……
この砲台跡について看板で簡単に説明されていました。
<美香保公園の歴史;高射砲台跡>
美香保公園は1942年(昭和17年)に空襲の被害拡
大防止と避難地である「防空緑地」として計画され、
戦時中は軍の施設が散在していました。
戦後、昭和24年からグラウンド等の整備が始まりま
したが、公園には軍の高射砲の台座が残っていました。
当時の軍の威光のもとに強固につくられ、取り壊しに
多くの費用がかかるため、台座の上に土を盛って
スキー山としました。このドーナツ型のコンクリートも
高射砲の台座の一つでした。
皮肉なもんです。
たしかにこの砲台跡の目の前に、スキー山があります。
札幌は学校でスキーを教わるせいか、公園や校庭によくこのスキー山というのがあって、冬場は子供がスキーの練習をしたりそりで滑ったり。函館や室蘭ではスキー山って見かけなかったような気がする。
デジカメでパノラマに取れるので試してみた。
なんじゃこりゃ。
手前の道が曲がってますが、実際はまっすぐの道です。
こんなに低い山じゃなかったんですが、山の高い感じがパノラマの犠牲になりました。
山が結構でかいんですが、埋まっている軍の威光は今残されている砲台跡より大きい物だったのでしょうか。軍国主義を突き進んでいた当時にその威光の元に作られたものを敗戦後に埋めたのは、別に自虐ネタではなく純粋にお金を節約したかったからなのでしょうが、なぜ埋めたし!
歴史資料だし、埋めないでちゃんと見物できるようにしてよー と思いました。
むしろ遊具に改造すれば大きなお友達にウケたんじゃ?
スキー山。
ちょっと登ってみましょうか。
あっ グキッ
……北側に野球場、右に見えるレンガ色の建物が美香保体育館です。札幌オリンピックのスケート場として使われた所。
なるほど、このスキー山は戦争の跡と平和の祭典の跡が同時に眺められる。いや、体育館は普通に使われている
はずなので跡って言ったら誰かに怒られそうですが。
写真中央を横切るフェンスの手前らへんに砲台跡があります。
天辺に着くと、芝生の剥げた所にナナカマドの実が集めてありました。
子供って何故かこの謎の行動をやりますよね。
私も幼児期にやってました。
泣かれたら焦るので踏まないようにしてあげましょう。
ちなみにナナカマドは苦いので食えないそうです。
スキー山から公園の林を望む。高い所は気分がいい。
馬鹿と煙は……と言いますが、お察しの通り私は煙なので高い所が好きです。
もう紅葉が始まっていますね。
足元の土の下には砲台跡。
かつての軍の威光が今は人知れず土に埋もれているとは、笑えないけどすごく上手い皮肉であるようにも思えました。
なんか、林探索中に聞いたしんみりギターの音色のせいで、普段の
「知らなーいw ʅ(◔౪◔ )ʃ てへぺろ♪」
みたいなテンションになれませんでした。
顔文字、化けてたらすみません。多分携帯だと?マークに化けます。
今日は天気はいまいちですが、スキー山には犬の散歩の人や父親に連れられた小さな子供らが登り、のんびり遊んでいました。
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